モザイクアート パズルの歴史
モザイクアートは言語に関係なく楽しめ、解くと絵がでるロジックパズルです。シンプルなルールにチャレンジングなロジックで飽きることなく楽しませてくれる知的エンタテインメントです。
歴史は、1970年代に遡ります。 パズルマガジン「Hanjie:判じ絵」で知られるイギリスのPuzzler Media社の編集者、Trevor Truran氏は前職の高校教師時代に、新しいパズルを模索していました。
Truran氏は、数学者John Horton Conway氏が「Game of Life」の一部で説いている、セルとその周りのセルは互いに何世代にもわたりどのセルが生きるか死ぬかを決定し合う、というコンセプトに興味をもったことが今のモザイクアートパズルのベースになったと考えます。
2つ、または3つの周囲のマスを見る
Bog Hopping
Bang To Rights
Truran氏は、モザイクアートパズルへの道のりについての記事で、10点の新しいパズルのうちいくつかはこの隣り合うマスのアイディアに基づくものだったと述べています。しかしこれらは絵の出るロジックパズルではなく単なる難問で、盤面の情報をもとに次の行を塗りつぶすものでした。
そこでTruran氏は、これまでのランダムなマスのグループによるものではなく、0から9の数字を使い、各数字がそのマスを含めた周囲のマスの中でいくつ塗りつぶされるか、完全に盤面上のマスを白か黒に決定できるようなアイディアがないかを考えました。このアイディアに基づくパズルを、これまでの "cross referencing"と区別するために "internal referencing"と呼んでいました。
しかしながら、この時点ではロジックの理論に基づきマスを塗りつぶすだけで絵を描くものではなく、パズルとして解く何らかの目的を持たせる方法に詰まっていました。この2つのパズルは、"Bog Hopping"と"Bang To Rights"とネーミングされました。
長い時間と退屈な作業
これらのパズルを解いて絵を描き出すアイディアは、Truran氏が盤面上に三角形と六角形を含む形をたまたま描いたときにひらめきました。とても貧相な絵でしたが、トライしているうちに盤面上の数字を使いあるマスと周囲のマスの法則に基づいてマスを塗りつぶすことで、何らかの図柄を描けることがわかりました。
この時点では、この程度のシンプルな図形になるようにパズルをつくるにもマニュアルでコンパイルし、一つの解答を生み出すには莫大な時間と退屈な作業を重ねるしか方法がなく、いくつのマスに数字がふられるべきかを確実に決定することは不可能でした。
今思えば最初のトライアルでは、全てのマスか一つ置きのマスに数字がふられる状態で、試行錯誤を重ね何とか複数解なく成立できることが証明できた程度で、パズル問題としては未完成で、要らない情報がどうしても含まれてしまいました。その上、作成に莫大な時間がかかる割にはあまり価値のあるものとは考えられませんでした。
コンセプトの面白さを感じる
2001年の終わりごろ、TruranはプロトライプのパズルをConceptisに紹介しました。当時のパズルは図柄もはっきりせず、数字は一つ置きのマスに配置されていましたが、Conceptis のDave Greenはこのプロトタイプを解いた時、面白いものができると感じていました。
その後すぐに、コンセプティスでコンピュータで生成するプログラムの開発を進め、2003年に新しいタイプの絵が出るロジックパズル、Fill-a-Pix (モザイクアート)として完成しました。
NTT docomo モバイル配信サービスでの採用
Fill-a-Pix NTT docomoモバイル配信
パズルの面白さに最初に共感した会社は日本のモバイルゲーム配信会社、G-mode社でした。2003年にG-modeは「ぬり絵パズル」というパズルブランド名でコンセプティスのFill-a-Pixをdocomoのi-modeで配信を開始しました。その後、au、softbankでもサービスを開始しました。
2003年6月には、オランダ、ドイツ、イギリス、日本の出版社の各マガジンでも徐々に採用され、これまで何度か世界パズルチャンピオンでも採用されました。
2004年3月にはパズラーメディア社より出版された隔月のFill-a-PixマガジンがWHSmithストアに並び、その後世界へ広がって行きました。
今日、コンセプティスのFill-a-Pix (モザイクアート)はUSA、日本、イギリス、ドイツ、オランダ、カナダ、フランス、ロシア、ポーランド、フィンランド、デンマーク、イスラエル、ハンガリー、オーストリアをはじめ世界約40カ国で出版・配信されています。